魔女について

 

□魔女という概念について

 

「魔女」とは、職業の名前である。

「あちら」と「こちら」の境界を監視し、境界を守ることが魔女の主な仕事。

 

どの世界にも、「こちら」と「あちら」は存在する。

言い換えれば「この世」とかを「あの世」とか、「此岸」と「彼岸」とか、「生」と「死」とか。

同じ世界に存在しながらも、安易に交わってはならない境界。

 

例えば、物置の扉。例えば、鏡。どこにでも。

古いポットには妖精が住んでいる。

椿の垣根をくぐると妖に攫われてしまう。

クローゼットの奥は別の世界につながっている。

そんな古く拙い伝承にもある通り、ふとしたところに「こちら」と「あちら」の境界は存在している。

 

その境界を監視し守ることが「魔女」の仕事。

そのため本来「魔女」という呼び名は職業名でしかなく、性別を定めるものではない。

 

それからこの世界には「平行世界」という概念が存在している。(別項)

要約すると、平行したいくつもの世界が無限に存在するという話。

そして、いくつかの条件こそあるものの、この平行世界を渡ることができるのが「魔女」という存在。

 

つまり、魔女の仕事とは、

世界を渡り、

境界が守られていない世界に行き、

その世界で境界を監視し守り、

後継を見つけ、

後継を育て、

その命が尽きても境界を守り続けること、

である。

 

勿論世界によっては境界が守られている世界もあるし、「あちら」も「こちら」も混ざりきって、そもそも境界がない世界もある。

世界を渡る力を手に入れても、自分の生まれた世界でそのまま魔女を続けることもある。

しかし基本的な魔女の仕事は、世界を渡り、境界を監視し守ること。

 

しかし普通に魔法と呼ばれる類を扱う能力は有している。

例えるならば、世界を渡ったり境界を守ったりするのは魔女の必須事項、魔法を使えるのは魔女の前提事項である。

 

ちなみに魔法は使えるが世界を渡ったり境界を守ったりしない者のことは「魔法使い」と呼ぶ。

 

あと魔女にはよく師弟関係が結ばれるけど、中でも少し特殊な師弟関係を「姉妹」とすることもある。

師匠を姉、弟子を妹と呼ぶような文化。

「師を超えるのは弟子の役目」という文言と文化から転じて、超えないことを赦すような甘い関係らしい。

 

 

 

□魔女の名前について

 

魔女には三つの名前がある。

一つ目は「名」と呼ばれる、その名の通り呼称を指す名前のこと。

二つ目が「号」と呼ばれる、その魔女の属する組織や店の名前のこと。

(「魔女」という存在が職業であるため、自分の店を持つ魔女が多い)

三つ目が「通り」と呼ばれる、通り名のこと。

通りはたいていはその魔女の得意魔法あるいは特徴となる魔法、特徴となる容姿なんかから名付けられる。

そのため通りがシンプルであればあるほど強力かつ有名な魔女ということになる。

 

ちなみにどれもこれも大概偽名というか後から付けられた名前で、真名(存在として本当の名前/生まれた時に授かった名前)を名乗っているのは稀なこと。

「真名には強い力が宿る」というのが魔女的な常識で、そんな真名を他人に教えるなんてとんでもない!という話。

 

名をコロコロ変える魔女も居るし、呼称=号だったり呼称=通りだったりで名を使わない魔女も居るし、号が変わることも通りが変わることもあることから、「三つもあればどれかで判別できんだろ」みたいな風潮から三つの名前を魔女の名前とするようになったとかなんとか。

 

具体例を挙げると、

名が「殿閃」 号が「伊予苑」 通りが「万能の魔女」の殿閃は、名はそのまま名前かつ呼称で、号は所属名(伊予苑家)となっていて、どんな魔法でも扱うことができどんな魔法でも生み出すことができることから「万能」と謳われている。

名が「ゟ(より)」 号が「折守」 通りが「花折りの魔女」の折守は、名に名無しの意味を比喩するような言葉を用い、号が店名でありかつ呼称、花を折って(魔法にかけて)飛ばす彼女の得意魔法から「花折」と呼ばれている。

名が「京屋」 号が「京終堂」 通りが「時計の魔女の弟子」の京屋は、(偽名の)姓を名とし、号は店名、通りについては彼がまだ弟子(魔女見習い)のため固有のものはない。

彼の師匠である「時計の魔女」は、定期的に名を変える魔女の例でもある。(詳細は別項)

 

 

□世界の理 魔女の特例編

 

「同じ世界に同一人物が存在してはならない」とかいう世界の理については把握していますでしょうか。

ここからは「世界の理〜魔女とかその辺の世界を渡る人とかの話〜」です。

 

世界にはなんか色々複雑な理があるものの、普通に生きてる彼ら的には特に気にするものではないんだけど、魔女とかいう世界を渡り歩く彼らにはめっちゃ例外的な特例の理がゴロゴロ存在しているのでいくつかかいつまんで説明しますね……

 

(前提)

・魔女は別世界線に渡ることが出来る

・同じ世界に同一人物が存在してはならない

(なので別世界線の自分に会うこともできないしアナザー自分が存在する世界に渡ることはできない)

 

・魔力(概念)の強さに応じて魔女じゃない人を別の世界に連れていくこともできる

・魔女の弟子(妹)は自力じゃ別の世界には行けない

(自力で別の世界に行けるようになったら一人前)

・魔女の弟子(妹)を別の世界に連れて行けるのは師匠(姉)だけ

・世界の理が侵され、都合の良い世界が再生成される時、結構な頻度で魔女は省かれたり例外処理される

 

とかそんな感じ。

まだいくつかあると思うんで思い出したら追加します。